サンタ論
昔々の物語。
ずっと北のある所。
本当にサンタクロースがいました。
しかし、格好は今のようなものではありませんでした。
サンタクロースは毎年クリスマスになると子どものいる家にプレゼントを配って回っていました。
もちろん相棒は赤鼻のトナカイ(非常食)。
一人と一匹(非常食)は仲良く暮らしてました。
しかし、こんな生活も永遠には続きません。
このサンタクロースはある時事故で死んでしまいました(享年70)。
それは悲惨なもので、サンタは血まみれになって死んでしまいました。
トナカイ(非常食)の行方は誰も知りません。
しかし、サンタは死んでもなお子どもに夢を配りたいと言う執念から、
魂だけで現世に残っていたのです。
サンタはもう世界を回る力などありません。死んでますから。
そこでどうにかプレゼントを配る手段として、人に憑依することを選びます。
そこで憑依の方法です。
サンタは自らの魂を無数に小さく分裂させます。
地球の大人の数と同等ぐらいまで。
もちろんここまで分裂すると力も弱く、憑依した対象を操るなど不可能です。
しかし、ほんの少しだけ
「子どもにプレゼントを買ってあげる」
という気持ちを増加させるのです。
すると、サンタが世界を回らなくとも子ども達にはプレゼントが与えられることになりました。
憑依する際に大人がサンタクロースの姿を見た人もいたようです。
その人にはサンタは真っ赤な服を着ていた様に見えたのでしょう。
さらに、この時までにサンタの噂が広まっていて、
洒落た大人がサンタと同様な与え方をします。
それがだんだん世界中に広まって行きます。
結果として、子ども達にはサンタの生前と同様に夢が与えられていくことになりました!
「サンタさんが来てくれた!」
「プレゼントをもらえた!」
クリスマスの子ども達には笑顔が戻るのでした。
さらに、何百年も続けていると、その内その習慣が人々に根付き、
現在の習慣になったのです。
サンタクロースはこれに満足しました。
「もう思い残す事は何もない」
すると、赤鼻のトナカイ(非常食)がサンタの前に現れます。
感激したサンタはトナカイ(非常食)にこう頼みました。
「友(非常食)よ、一緒に天国に行こうじゃないか。
お前(非常食)の引くソリに乗ってなら何処へでもいけるさ!」
こうして、トナカイ(非常食)の引くソリに乗って、サンタは天に召されるのでした……。
空を飛ぶトナカイ(非常食)とそれに乗るサンタというのは、
この時天に召されるのを偶然にも見た人達によって語り継がれていったのでしょう。
「少年よ、少女よ。いつまでも夢を大切にしておくれ」
サンタはそれだけを伝えたいがためにここまでしてくれたのでした。
サンタクロースは語られることは無く、しかし、確実に人々の心に永遠に留まるのでした。
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